日本各地で深刻化する空き家問題。かつて誰かが住んでいた家も、時が経つにつれて誰も住まなくなり、放置されることで老朽化が進みます。

 

このような空き家は、地域の景観を損ねるだけでなく、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。例えば、老朽化した家屋は倒壊の危険性があり、防災上の問題を引き起こすことがあります。また、不法侵入や不法投棄の温床となることもあり、治安の悪化にもつながりかねません。

 

さらに、空き家を所有している方は、固定資産税や管理費などの費用を負担し続けなければならず、経済的な負担も大きくなります。

 

しかし、空き家を放置しておくことは、決して最善の選択ではありません。空き家を売却したり、有効活用したりすることで、さまざまなメリットを得ることができます。

 

今回は、空き家を所有する方がまず考えるべき二つの選択肢、「売却」と「有効活用」に焦点を当て、具体的な方法や注意点、そして活用事例を詳しく解説します。

 

空き家問題の現状と背景
総務省の調査によると、2022年3月31日時点で全国の空き家数は846万戸に達し、住宅総数の13.6%を占めています。この数字は過去最高を更新しており、空き家問題が深刻化していることが分かります。

 

空き家が増加する背景には、少子高齢化による人口減少、都市部への人口集中、住宅の老朽化、相続問題など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

 

特に地方においては、人口減少が著しく、空き家の増加が深刻です。空き家が放置されることで、地域コミュニティの維持が困難になる、地域経済が衰退するなど、さまざまな問題を引き起こしています。

 

空き家を売却する
空き家を売却することは、所有者にとって最も直接的な解決策の一つです。売却によって得られる資金は、新たな住居の購入や生活費に充てることができます。また、固定資産税や管理費などの負担から解放されることも大きなメリットです。

 

空き家売却の流れ
査定: まずは不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を把握します。複数の不動産会社に査定を依頼することで、より正確な価格を把握することができます。
媒介契約: 信頼できる不動産会社を選び、媒介契約を結びます。媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。
売却活動: 不動産会社は、買主を探すために様々な活動を行います。インターネット広告やチラシ掲載、オープンハウスなどが一般的な売却活動です。
売買契約: 買主が見つかったら、売買契約を結びます。契約内容をしっかりと確認し、不明な点があれば不動産会社に質問しましょう。
引き渡し: 売買代金の支払いと同時に、空き家を引き渡します。
空き家売却の注意点
売却価格: 空き家の状態や立地条件によって売却価格は大きく変動します。
仲介手数料: 不動産会社に支払う仲介手数料は、売買価格の3% + 6万円 + 消費税が上限と定められています。
税金: 空き家を売却した際には、譲渡所得税が課税される場合があります。
瑕疵担保責任: 売却後、一定期間内に建物に瑕疵（欠陥）が見つかった場合、売主は瑕疵担保責任を負うことがあります。
空き家を有効活用する
空き家を売却する以外にも、有効活用するという選択肢があります。空き家を有効活用することで、地域活性化に貢献したり、新たな収入源を得たりすることができます。

 

空き家活用の方法
賃貸住宅: リフォームや修繕を行い、賃貸住宅として貸し出す方法です。
シェアハウス: 若者や外国人旅行者などをターゲットにしたシェアハウスとして活用する方法です。
民泊: 旅行者向けの宿泊施設として活用する方法です。
店舗・事務所: 地域住民向けの店舗や事務所として活用する方法です。
地域活動拠点: 地域住民の交流スペースやイベント会場として活用する方法です。
福祉施設: 高齢者や障がい者向けの福祉施設として活用する方法です。
ゲストハウス: 旅行者やビジネスマン向けの簡易宿泊施設として活用する方法です。
空き家活用の注意点
初期費用: リフォームや修繕費用、設備投資費用などがかかる場合があります。
運営管理: 入居者の募集や管理、清掃、修繕など、運営管理が必要になります。
法規制: 空き家の種類や活用方法によっては、法規制を受ける場合があります。
事業計画: 空き家を有効活用するためには、綿密な事業計画を立てる必要があります。
空き家に関する相談窓口
空き家の売却や活用について悩んだ場合は、専門家や相談窓口に相談することをおすすめします。

 

地方自治体: 空き家に関する相談窓口を設けている自治体があります。
不動産会社: 空き家売買の専門家である不動産会社に相談することができます。
建築士: 空き家のリフォームや活用方法について相談することができます。
司法書士・行政書士: 相続問題や法的手続きについて相談することができます。
宅地建物取引士: 不動産売買に関する専門家であり、空き家の売却や活用について相談することができます。

 

まとめ

 

空き家問題は、所有者だけでなく、地域社会全体で取り組むべき課題です。空き家を売却するにしても、有効活用するにしても、まずは専門家や相談窓口に相談し、適切な方法を見つけることが大切です。

 

空き家を放置せず、売却や有効活用を通じて、新たな価値を生み出すことで、地域活性化に貢献することができます。